平成10年度第6回KSMAP


日時:1月11日(月) 16:00〜

場所:京都大学 工学部8号館 3階 共同5教室

       京都大学へのアクセス

講演題目と講演者

 「半正定値計画法(SDP)関連の話題と建築分野への応用について」
  ○ 藤沢 克樹 (京都大学 大学院工学研究科 建築学専攻)

講演要旨:
最近では、他の工学系の分野のように建築の世界においても さまざまな最適化手法を採用する方向に動いています。 建築系の学科は、構造、生産、意匠、設計、建築史や情報システム などの異種混合体であるのが普通ですが、この中で最適化手法 を用いることによって成果を期待できるのは、構造や生産系を はじめ、意匠系の設計支援なども含まれます。 その中において特に注目されている手法には、半正定値計画法 (SDP)などの非線形計画法、幾何学的アルゴリズムそれに組合せ的な 問題に対するメタ解法などの近似解法を挙げることができます。 今回の発表では、これらの話題に触れながら SDP 関連の話題を中心 に行なう予定です。最初に SDP の概要や SDP を解くための主双対 内点法について説明を行ないます。SDP が近年特に注目される理由 としては、SDP が線形計画法などの主要な凸計画法を拡張した 大きな枠組であることや、行列の半正定値制約という非線形制約を 含んでいるので非凸型非線形計画問題に対するより強力な緩和に なっていることや、主双対内点法により多項式時間で解けることなどが 挙げられます。実際の SDP の入力問題は様々な特殊構造を持つことが 多いのですが、これらの特殊な構造を利用して高速かつメモリ消費量 の少ない主双対内点法のソフトウェアを記述する方法についても 説明します。 発表の後半では、SDP の応用例として構造最適化への SDP の適用 について触れます。建築物の力学的な条件では、外力への応答と共に 固有振動数の条件があります。建築物にも当然固有振動数があり、 地震動や風などによって共振をおこす可能性があります。そこで建築物 の全ての固有モードにおける固有振動数が指定値以上でなければならない という制約が必要になります。指定値は地震動の大きさなどによって 決定されます。これらの条件は線形行列不等式(LMI)で記述できますので SDP によって解くことが可能です。発表では、これらの問題に対する 数値実験やさらに複雑な構造最適化の問題についても触れる予定です。
19名の参加がありました.参加していただいた方々, どうもありがとうございました.
柳浦 睦憲(yagiura@kuamp.kyoto-u.ac.jp)
<最終更新作成日時 1999年1月12日 >