平成 23 年度第 1 回 OR横断若手の会(KSMAP)


日  時:4 月 23 日(土)
場  所:京都大学 工学部 8 号館 共同 5 講義室


(1)平井 嗣人*,増山 博之,笠原 正治,高橋 豊(京都大学大学院情報学研究科)

「クラウド・コンピューティングにおける大規模分散並列処理システムの性能解析」

【概要】
大規模分散並列処理システムでは,最も遅いタスクの処理時間がシステムの応
答時間を決定する落伍者の問題が知られており,その対策として処理の遅いタ
スクを再度別に処理することで応答時間を短縮するバックアップ・タスクとい
う方法がある.本講演では,そのバックアップ・タスクの効果に対して,
待ち行列理論による解析がなされ,いくつかの実験結果が示された.


(2)小西 康晴*,増山 博之,笠原 正治,高橋 豊(京都大学大学院情報学研究科)

「コグニティブ無線通信システムにおける動的周波数割当方式の性能解析」

【概要】
近年の無線通信システムのブロードバンド化に伴う周波数帯域の逼迫という問題
に対し,周波数帯域を干渉なく動的に利用するコグニティブ無線通信システムが
注目を浴びている.本講演では,2変数連続時間マルコフ連鎖を用いた理論が紹介され,
それを用いた2種類のユーザが動的に周波数帯域を利用する
場合についての性能評価に対する解析結果が示された.


(3)原 健三*,増山 博之,高橋 豊(京都大学大学院情報学研究科)

「先着順型マルチクラスM/G/1待ち行列の軽裾漸近公式」

【概要】
本講演では,定常な先着順型マルチクラスM/G/1待ち行列モデルに関する
理論的な解析結果が紹介された.一般に,本待ち行列モデルの
結合系内客数分布に対し,陽的表現を得るのは難しいが,
各クラスのサービス時間分布の「裾が軽い」という仮定をおくことにより,
結合系内客数分布の裾漸近公式が導出できるということが示された.
このように得られた公式は近似式としての利用が期待されるものである.

(4)原 勇太*,梅谷 俊治,森田 浩(大阪大学大学院情報科学研究科)

「時空間ネットワークを用いた無人搬送車の搬送計画最適化」

【概要】

本講演では,複数の無人搬送車(コンピュータで制御される搬送車)による
2つの倉庫と処理設備間の製品の最適な搬送計画がテーマとされた.
具体的には,製品の搬送終了の時刻の最小化を目的とし,
時空間ネットワークの概念を用いた整数計画問題への定式化が
提案された.なお,提案されたモデルは,
定数個の時空間ネットワークで問題を記述できるものである.

(5)森 博章*,森田 浩(大阪大学大学院情報科学研究科)

「パラメトリック線形自己回帰分析と複数系列を考慮した予測モデルに関する研究」

【概要】
自己回帰分析とは,時系列データを分析する際に過去のデータを説明変数として
時系列データの構造を明らかにするための分析方法の一つである.本講演では,
自己回帰モデルの回帰パラメータ推定を行う際に様々な仮定を置くことで,
AIC(赤池情報量基準)の改善が可能であることが示された.
また,一つの系列のデータのみならず,複数の系列のデータを
考慮することで予測精度の向上が可能であることが観察された.


(6) 安田浩平*,林 俊介(京都大学大学院情報学研究科)

「非凸二次計画問題に対する強双対性を用いた二次分数計画問題の解法」

【概要】
本講演では,目的関数が凸でない二次関数の比として表され,
制約条件が凸でない二つの二次制約で特徴付けられるような
問題に対して焦点を絞って発表がなされた.
このような問題に対して,Dinkelbach のパラメトリックアプローチ
とBeck and Elder の双対性理論を組み合わせることにより,
多くの場合において大域的最適解が求まることが確認された.



32名の方々に御参加いただきました.御礼申し上げます.
林 俊介(Shunsuke Hayashi)
最終更新日:2011年4月25日