平成17年度第5回KSMAP


日時:2006年 3月29日(水) 15:00〜18:00

場所:関西学院大学 理工学部 IV号館 212教室
      http://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/school/acs/acs.html

講演題目と講演者:
・ 朝香 卓也(京都大学 大学院情報学研究科 通信情報システム専攻)
   「Unstructured型P2Pネットワークにおけるキャッシュコンテンツ住み分けを利用した負荷分散法」講演要旨
   
・ 内田 真人(九州工業大学 ネットワークデザイン研究センター)
  「非構造型P2Pファイル共有アプリケーションにおける検索効率と負荷分散の両立を目指した複製配置手法」講演要旨

講演要旨:

Unstructured型P2Pネットワークにおけるキャッシュコンテンツ住み分けを利用した負荷分散法
朝香 卓也(京都大学 大学院情報学研究科 通信情報システム専攻)

本講演では,ファイル共有などで利用されている現在の P2Pアプリケーションの現状と技術的課題問題について述べる. さらに,問題点としてネットワークやピアへの負荷集中に注目し, それを回避するための制御法を紹介する.Unstructured型P2Pネット ワークでは,フラディングベースの探索方式を利用しているために 探索の非効率であるだけでなく,仮想ネットワークがベキ乗則に従う トポロジーであるために隣接ピア数の多い特定ピアにかかる負荷が 著しく大きくなるという問題が指摘されている.これを解決するため, P2Pネットワーク上におけるコンテンツ交換において,各ピアの隣接 ピア数に応じてキャッシュコンテンツの住み分けを行う方式を提案する. その結果として,人気度が考慮された負荷分散さらにはヒット率の 向上を実現させる.また,シミュレーションによる評価を行い, 提案方式の有効性を示す.

非構造型P2Pファイル共有アプリケーションにおける検索効率と負荷分散の両立を目指した複製配置手法
内田 真人(九州工業大学 ネットワークデザイン研究センター)

ファイル共有を目的とした非構造型Peer-to-Peer(P2P)アプリ ケーションにおいて,複製の配置は検索効率を高めるための 有効な方法であるが,その一方で,複製の配置に伴う負荷が 特定のピアに負荷を集中してしまうという欠点もある. 本発表では,まず,こうした欠点を解決するために考案されて きたいくつかの既存の複製配置手法を概観する.そして, 検索効率と両立しながら負荷分散を達成するために,熱拡散 現象に着想を得た複製配置手法を提案する.理論解析の結果, 提案手法が統計的に熱拡散現象と類似の挙動を示すことを 明らかにする.また,シミュレーション評価の結果,提案手法は 検索性能と負荷分散をうまく両立させる能力に加え,検索効率と 負荷分散の多様なトレードオフ関係を開拓する能力を有すること を示す.


15名の方々に御参加いただきました.御礼申し上げます.
巳波弘佳(Hiroyoshi Miwa)
最終更新作成日時:2006年3月30日