平成15年度第5回KSMAP


日時:1月23日(金) 15:00〜17:30

場所:京都大学 工学部8号館共同5号室
      http://www.kuamp.kyoto-u.ac.jp/map/index-map.html
      http://www.i.kyoto-u.ac.jp/top/address.html
  
講演題目と講演者:

・ 上嶋 章宏
  (京都大学大学院 情報学研究科 通信情報システム専攻 博士後期課程)
  「H-彩色可能なグラフのクラスの階層構造と平面グラフのH-彩色問題の計算複雑さ」講演要旨

・ 柳井 秀三
  (神戸商科大学大学院 経営学研究科 経営情報科学専攻 博士後期課程)
  「ある1機械スケジューリング問題に対する優越テストについて」講演要旨

講演要旨:

H-彩色可能なグラフのクラスの階層構造と平面グラフのH-彩色問題の計算複雑さ
上嶋 章宏(京都大学大学院 情報学研究科 通信情報システム専攻 博士後期課程)

H-彩色問題は,代表的な離散最適化問題の一つであるグラフの点彩色問題に, 単純で自然な一般化を施した問題であり,入力されたグラフGからHへの準同形 写像が存在するか否かを問う問題と表現できる.その計算複雑さは,Gが一般 のグラフの場合,Hが2部グラフならば多項式時間可解,Hが非2部グラフならば NP-完全であることは示されているが,Gを平面グラフに限定した場合,Hが非2 部グラフのとき未解決である. 本発表ではこの未解決問題に注目し,従来のn-彩色が有する“n-彩色可能なグ ラフの集合はn+1-彩色可能なグラフの集合の真部分集合である”という自明な 階層構造を内包し,無限に細分化する新たな階層構造を提案し,この階層構造 に従い,平面グラフのH-彩色問題の計算複雑さがNP-完全から多項式時間可解 に変化する境界を探る.

ある1機械スケジューリング問題に対する優越テストについて
柳井 秀三(神戸商科大学大学院 経営学研究科 経営情報科学専攻 博士後期課程)

優越テスト(dominance test)は分枝限定法における限定操作の一つであり, 良い下界値が得られないスケジューリング問題では重要な技法とされている. リリース時刻付き総滞留時間最小化1機械スケジューリング問題に対して, さまざまな種類の優越テストを組み合わせることにより,ジョブ数100の問題が 現実的な計算時間で解けたと報告されている.しかし,そこで提案されている 各優越テストは,単体では正しいものの,それらを単純に組み合わせると最適 解を得る前にすべての子問題が限定され,最適解を出力せずに分枝限定法が終了 してしまう可能性がある.本発表ではまずその点を指摘し,続いて分枝限定法が 正しく動くための修正方法を提案する.さらに新しい優越テストを提案する. 最後に数値実験結果を報告する.


21名の方々に御参加いただきました.御礼申し上げます.
巳波弘佳(Hiroyoshi Miwa)
最終更新作成日時:2004年1月29日