平成13年度第1回KSMAP


平成13年度第1回のKSMAPは,M1のみなさんに卒論を発表してもらいました.
日時:6月8日(金) 15:00 〜 17:00 

場所:大阪大学 豊中キャンパス 待兼山会館2階 会議室

       会場への案内  

  「Parametric Generalized Maximum Flows and Applications」
    江口 明伸 (大阪大学大学院大基礎工学研究科システム人間系専攻) 講演要旨

  「逆最短路問題による道路課金の分析」
    幡本 賢史 (大阪大学大学院基礎工学研究科システム人間系専攻) 講演要旨

  「税収還元効果を考慮した炭素税の政策デザインとその評価」
    笹野 直幸 (大阪大学大学院基礎工学研究科システム人間系専攻) 講演要旨

  「サポートベクターマシンによる倒産予測」
    山口 貴大 (京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻) 講演要旨

講演要旨:

Parametric Generalized Maximum Flows and Applications

江口 明伸(大阪大学大学院大基礎工学研究科)

We consider the problem of preemptive scheduling with uniform machines, where jobs have processing requirements and due dates. The objective is to minimize the maximum tardiness. This problem was formulated by Serafini in 1996. McCormick reduced this problem to a maximum flow problem in a parametric network and extended the parametric preflow/push algorithm of Gallo, Grigoriadis and Tarjan to solve the problem of Serafini.
We extend Serafini's model to the case when machines are non-uniform. This can be reduced to a generalized maximum flow problem in a network with gains whose underlying graph is same as that in Serafini's model. This problem can be solved in polynomial time by the binary search for the minimum of the maximum tardiness.


逆最短路問題による道路課金の分析

幡本 賢史 (大阪大学基礎工学研究科)

近年交通渋滞問題の対策として,道路課金(ロードプライシング)が注目を集め ている.本研究では,与えられた道路網とその利用状況に対し,道路網全体で渋滞を 発生させないように分散された交通を実現するために,適切な道路課金を求める数理 的な方法を提案する.この方法はまず,分散された交通を多品種流問題を解くことで 求め,つぎにその交通が実現されるような各道路に対する通行料金を,逆最適化問題 を解くことで求めるという,2段階からなる方法である.この方法をプログラムとし て実装し計算機実験を行うことで,この方法の有効性を検証する.


税収還元効果を考慮した炭素税の政策デザインとその評価

笹野 直幸 (大阪大学基礎工学研究科)

現在我々の抱えている環境問題のうち深刻なもののひとつが地球温暖化問題である。 地球温暖化の原因である約94%以上を二酸化炭素が占めており、今後の対策としては 二酸化炭素排出量削減が重要な課題であるといえる。そこで京都会議における削減 目標設定など国際的な取り組みも始まった。削減目標達成のため日本の対策としては 炭素税が導入される見通しとなってきたが、日本は国際的な排出権取引制度などに 消極的な姿勢を示している。また、炭素税導入にあたっていくつかの課題が生じる。 その課題は、産業間格差の是正、国際競争力の維持などである。産業間格差の是正や 国際競争力の維持を伴う炭素税の政策デザインのためには、得られた税収をいかに 還元するかを考慮しなければならない。そこで、炭素税賦課による炭素税収をいかに 還元するかいくつかのシナリオを設定し、実データを用いてシミュレーションを行い、 分析する。


サポートベクターマシンによる倒産予測

山口 貴大 (京都大学大学院情報学研究科)

1990年代初頭のバブル経済の崩壊により我が国の経済は長期間の低迷に陥っている. それに伴い企業の倒産件数が急激に増加している.これにより経営者や投資家のみ ならず,研究者の間でも企業の信用リスクの計測に高い関心が寄せられている.そ して,多くの研究者たちによって大量に蓄えられた倒産データから倒産企業を予測 する方法の開発が進められてきている.一方,人工知能の分野では大量に蓄えられ たデータの中から有用な指標を抽出するデータマイニングと呼ばれる手法が近年活 発に研究されている.特に,サポートベクターマシン(Support Vector Machine: SVM) と呼ばれる手法が,現実の問題への応用において優れた性能を持つことが報告され ている. 本発表では,SVMを用いて企業の倒産を予測する方法を提案する.さらに SVMの学習結果を用いて企業の倒産確率を推定する方法を提案する.また実際に倒産 した企業の財務データに対して提案した方法を適用した数値実験を行い,実務上よく 用いられる判別分析との比較を行った.その結果,SVMの識別率は判別分析の識別率 に比べて優れていることが確認された.また認識率において優れているだけでなく, 倒産確率の推定においてもSVMの学習結果は有用であることが分かった.

29名の参加がありました. 参加して下さった方々に御礼申し上げます.
高畑 貴志 (takabatake@sys.es.osaka-u.ac.jp)
<最終更新作成日時 2001年6月18日 >