平成12年度第4回KSMAP


平成12年度第4回のKSMAPでは,京都大学の高橋先生と 京都大学の増山さんに講演をお願いしました.
日時:10月24日(火) 15:00 〜 17:30 

場所:京都大学 工学部8号館 共同2講義室

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講演題目と講演者

  集団到着を許すmarked MAP/G/\infty 待ち行列に関するアルゴリズム的解析
    増山 博之 (京都大学情報学研究科数理工学専攻)

  情報システムにおけるOR - 待ち行列モデルを中心に
    高橋 豊 (京都大学情報学研究科システム科学専攻)


講演要旨:

情報システムにおけるOR - 待ち行列モデルを中心に

高橋 豊 (京都大学情報学研究科システム科学専攻)

インターネットを始めとする情報システムはオペレーションズ・ リサーチの重要な応用分野の一つである.。待ち行列理論の観点 からこれまでの理論と応用の融合の歴史を振り返り、 21世紀におけるORの応用分野として無線・移動体通信を取上げ、 主な研究課題を概括する。


集団到着を許すmarked MAP$/G/\infty$ 待ち行列に関するアルゴリズム的解析

増山 博之 (京都大学情報学研究科数理工学専攻)

近年技術開発が進められている統合サービス網においては性質の異なるトラヒックが多重化されて 伝送され、共有の資源であるサーバやバッファを競い合うことになる。こうした技術的背景から複 数の到着流を持つ待ち行列の研究が注目されている。本研究で扱っている、集団到着を許す marked MAP (Markovian Arrival Process) を入力とする待ち行列モデルは、統合サービス網の性能を評価 する上で基本となるモデルである。ところで、このmarked MAP は有限の状態を持つ連続時間マルコ フ連鎖によって支配されるマルコフ過程で、単純な(任意の時刻で高々1つの事象しか発生しない) 定常点過程を任意の精度で近似できることが知られており、なおかつ、解析的な扱いが可能な最も 一般的なクラスの到着過程である。しかしながら、特に集団到着を許した marked MAP を入力とす る待ち行列モデルに関しては、ほとんど解析的な結果が得られていないのが現状である。 こうした現状を踏まえ、本研究はそうした未解決な待ち行列モデルの1つである、marked MAP$/G/\i nfty$ 待ち行列の系内客数分布に関する任意次のモーメントの数値計算アルゴリズムを構築するこ とを目的としている。また、数値計算アルゴリズムを考察するにあたって、解析的な取り扱いが可 能な最も広いクラスの分布である位相型分布を採用した。 さて、本研究と関連した従来の研究では、客の種類は単一であり、また、系内客数の平均と分散の 数値計算しか考察されていないが、本研究では到着流によって客を区別し、さらに過渡状態、及び 定常状態における客数分布の任意次のモーメントについて考察しているため、従来の研究結果も本 研究の枠組みの中に含めることができると考えられる。

33名の参加がありました.参加していただいた方々, どうもありがとうございました.
柳浦 睦憲(yagiura@amp.i.kyoto-u.ac.jp)
<最終更新作成日時 2000年10月24日 >