平成12年度第3回KSMAP


平成12年度第3回のKSMAPでは,京都大学の岩間一雄先生と 寒野さんにご講演をお願いしました.
日時:9月25日(月) 15:00 〜 17:30 

場所:京都大学 物理系101講義室 
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講演題目と講演者

  半正定値計画法による構造最適化
    ○寒野 善博, 大崎 純, 藤澤 克樹, 加藤 直樹 (京都大学工学研究科建築学専攻)

  CNF論理式の充足可能性問題
    岩間 一雄 (京都大学情報学研究科通信情報システム専攻)


講演要旨:

論理式の充足可能性問題

岩間 一雄 (京都大学情報学研究科通信情報システム専攻)

CNF論理式の充足可能性問題(SAT)は最初にNP完全性が証明された問題で,最 も基本的な組合せ問題の一つである.本講演では,この問題の理論的側面と実 際的側面の双方を最近の話題を中心にして解説する.


半正定値計画法による構造最適化

寒野 善博, 大崎 純, 藤澤 克樹, 加藤 直樹 (京都大学大学院工学研究科建築学専攻)

本報告では,半正定値計画法 (Semi-Definite Program, SDP) を用いた 構造物の最適設計法を紹介する. SDPは数理計画法の新しい枠組の1つとして様々な分野での応用が 研究されており,構造物の最適化に適用された例もいくつか見られる. Ben-Tal and Nemirovski (1997)は,コンプライアンス制約下で ロバスト性を考慮したトラスの最適トポロジーを求める問題をSDPとして 定式化している.
著者らは,1次固有振動数制約下でのトラスのトポロジー最適化問題を SDPとして定式化した. また,線形座屈荷重係数を制約とした問題に対しても, SDPとして近似した問題を繰り返し解くことにより効率良く最適解を 求める手法を提案している.
行列の最小固有値を制約としたこれらの問題では,最適解において しばしば最小固有値が重複し,このような場合には従来用いられてきた 固有値の勾配に基づく非線形計画法によって最適設計解を求めることは 極めて困難であることが知られている. SDPを用いた手法では最小固有値の感度係数を用いないため, 最小固有値が重複する場合にも問題なく解を得ることができる.
骨組構造物に対する1次固有振動数制約下での最適化問題は, SDPの線形制約式に2次の項が付加された問題と考えることができる. しかし,この場合には繰り返しSDPとして近似するような解法では, 問題によっては収束性や局所解に陥るなどの困難点がある.
24名の参加がありました.参加していただいた方々, どうもありがとうございました.
柳浦 睦憲(yagiura@amp.i.kyoto-u.ac.jp)
<最終更新作成日時 2000年9月25日 >