平成9年度第7回KSMAP


第7回KSMAPは「最適化理論とその応用」研究部会と共催で行いました.

日時: 3月3日(火) 13:00〜15:00 

場所:  住友金属和歌山製鉄所PRセンター1階会議室
   〒640 和歌山市湊1850番地住友金属システム(株)和歌山支社 (注1)

       住友金属和歌山製鉄所へのアクセス

講演
(1) 中尾 芳隆(京都大学工学研究科)
     「無向ネットワーク内の全ての最小カットを表すカクタス表現の構成について」
(2) 大西 匡光(大阪大学経済学部)
    「完備証券市場における同値マルチンゲール測度の持ついくつかの確率優位的性質」

酒蔵見学会(中野酒造株式会社)

(注1) 住友金属システム開発株式会社は、住友金属情報システム株式会社、 住金制御エンジニアリング株式会社、住金ソフトウェアファクトリー株式会社と 2000年10月1日に合併し、 株式会社住友金属システムソリューションズ となりました。

講演要旨:

「無向ネットワーク内の全ての最小カットを表すカクタス表現の構成について」

永持仁,○中尾芳隆,茨木俊秀(京都大学工学研究科)

無向ネットワークにおける全ての最小カットを簡明に表現するデータ構造 としてカクタス表現がある. カクタス表現を用いると, ネットワーク内の全 ての最小カットを, カクタスの最小カットとして簡単な計算で効率よく求め ることができる. カクタス表現を計算する目的にこれまでに提案されているアルゴリズムで は, Gabowによる$O(nm\log (n^2/m))$時間アルゴリズムや, 永持と亀田によ る$O(nm+n^{2}\log n+|W|m\log n)$時間アルゴリズムがある. ここで, $n, m$ はそれぞれ入力されたネットワークにおける頂点、辺の数を表し、$|W|$は 出力されたカクタス表現における節点の数を表す. 本研究では, NagamochiとKamedaのアルゴリズムを改良した新しいアルゴリ ズムを示す. その計算時間は$O(nm+n^{2}\log n+|C|m\log n)$である. ただ し$|C|$は出力されたカクタス表現の閉路の数を表す. カクタスにおいては $|C| < |W|$が常に成り立つので, 本研究のアルゴリズムの計算時間は, 改 良前のアルゴリズムより短縮されている.


「完備証券市場における同値マルチンゲール測度の持ついくつかの確率優位的性質」

大西匡光(大阪大学経済学部)

本論文では,完備な証券市場における証券の均衡価格系に関する比較静学を行うこと を目的として,いわゆる同値マルチンゲール測度の持ついくつかの確率優位的性質を 導出する.さらに,その結果として,下記の2種の変化に対する証券の均衡価格系の 変化はある単調性を持つことを示す:(1)市場の投資家の不確実性に関する共有確 率信念が尤度比優位の意味でシフトする場合;(2)市場投資家の Arrow-Pratt の 意味での危険回避性が変化する場合.

参加いただいた方々(30名,敬称略, 順不同): 三根久, 斉藤誠慈, 田畑吉雄, 谷野哲三, 乾口, 見市, 能勢豊一, 中島健一, 石垣智徳, 曽道智, 中尾芳隆, 橋口浩隆, 柳浦睦憲, 松崎健一, 小柳, 田地宏一, Cepek, 多田実, 小出, 伊藤健, 毛利, 粕谷, 黍迫, 大西, 植松, 宮村, 片桐, 林芳男, 石井博昭, 塩出省吾 (参加予定者名簿より記載していますので, 若干の誤りがあるかも知れません. また,名字のみ記載の方もいらっしゃいますが,ご了承下さい.)
ご参加いただいた方々,どうもありがとうございました.

柳浦 睦憲(yagiura@kuamp.kyoto-u.ac.jp)
<最終更新作成日時 1998年3月3日 >