平成7年度第2回KSMAP
日時: 平成7年6月30日(金) 午後2時〜5時
場所: 住友金属工業株式会社
大阪市中央区北浜東2ー16
日刊工業新聞社ビル10F
プログラム:
◆2時より
[タイトル]
「テレビが故障した, あなたは修理にいくら掛けますか!」
[発表者]
瀬川 良之 (京都学園大学経営学部)
[概要]
故障取り替え問題は見た目ほど簡単に結論が出せない. 費用と修理程度の
関係は,以下に示す通り結構微妙である.
年齢に依存して増加する故障率関数を持つ信頼性システムについて, 故障が
発生した時修理を行なってシステムを稼働させる. ここで, 修理には次のよ
うな 2 種類の方法があって,各故障時点においてどちらの修理を行なうか決
定するものとする. 1 つ目の修理を修理 $P$ と呼び, 費用 $Cp$ を必要
とし, 修理の結果確率 $p$ で年齢はそのままに稼働状態となり, 確率
$1-p$ で年齢が 0 に戻り稼働状態となるものとする. また, 2 つ目の修
理は修理 $Q$ と呼び, 費用 $Cq$ を必要として, 修理の結果確率 $q$ で
年齢はそのままに稼働状態となり, 確率 $1-q$ で年齢が 0 に戻り稼働状
態となるものとする. このとき, $p > q$ かつ $Cp < Cq$ であるとする.
すなわち, 修理 $P$ は安かろう悪かろうであり, 修理 $Q$ は高かろう良
かろうである.
このモデルの最適な運用方法を見つけることを簡単に $P-Q$ 問題と呼ぶと,
$P-Q$ 問題の最適政策は $t$-政策と呼ばれる 2 領域政策になることが証明
できる. つまり, テレビの修理にも合理的な基準が存在するのである.
◆3時より
[タイトル]
遺伝アルゴリズムの鉄鋼への応用
−厚板スラブ設計への適用−
[発表者]
平山 克己 (住友金属工業株式会社 システムエンジニアリング事業本部
オープンシステム部 数理技術室)
[概要]
スラブ設計問題は厚さが同一の矩形注文板を様々な製造制約の下で取合せ、
大板寸法を決定する2次元Bin-Packing問題と、スラブ製造コストを最小化
するスラブ寸法決定問題の複合問題である。
2次元Bin-Packing問題は与えられた複数個の長方形を巾一定、高さ一定の
ビンに詰め、 使用するビンの個数を最小にする問題である。 2次元Bin-
Packing問題はNP−完全 (Non-deterministic Polynomial-complete)問題
であるので、最適な詰め方を求めるアルゴリズムは存在しない。 本稿では
近似最適解を求める近似アルゴリズムとしてGAを採用し、 2次元Bin-
packing問題の一種であるスラブ設計問題の解法の提案とその有効性につい
て紹介する。
柳浦 睦憲(yagiura@kuamp.kyoto-u.ac.jp)
<最終更新作成日時 1997年4月20日 >